第10回:かっこいいおじさんの話/あいさつのできる子

かっこいいおじさんの話

警備員として働き始めたという70代の男性のお客様のお話です。

そのお客様がビル工事現場前を往来する人達を見守りながら声掛けをしていた時、下を向いて淋しそうに歩いている少年に目が留まったそうです。お客様は「おはよう」と声を掛けたとのことですが、その少年は顔を少し上げたものの返事はなく、また下を向いて淋しそうに歩いて行ってしまったとのことです。

いつも決まった時間に登下校する寂しそうな少年が気になったお客様は、それからも会うたびに「おはよう」「お帰り」と返事がなくとも声を掛け続けたそうです。
三月になったある日、その少年は急に立ち止まり、お客様の顔をまっすぐ見ながら「明日からこの道を通りません。4月から高校生になります」と言ったそうです。

その少年の意気に心を打たれたお客様。「嬉しくてよー、泣けてきちゃったよ」と涙ぐみながらその話を私に話してくれたのでした。その少年はいつも変わらずに声を掛け続けてくれたおじさんに励まされ、心から感謝していたのでしょう。「大人になったら、こんな優しくて人情味のあるカッコいい大人になりたい」、そう思っていたのに違いありません。

高校生になった君、がんばっているだろうな。

あいさつのできる子

「おはようございます」という元気な声を聞くと、とても嬉しくなります。うちのお店の前を通学路としている男の子がいます。

その子は「おはようございます」と自分の方から声を掛けてくれます。どこの子かも何年生かも知りません。いつも眠そうな顔をしている子なのですが、お友達の顔を見たらきっと眠気も覚めているのでしょう。

私は「おはよう。気をつけていくのよ」、と母親のような気持ちで声をかけていますが、その子にとっての私は「床屋のおばあさん」なのでしょう。うちの孫たちも、ちゃんとあいさつしてるのかなー。

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