たてよこななめでつながろう しばたゆう子(a.k.a 丁稚のハニー)
こんにちは! 足立区内で子ども食堂を運営しております、「たべるば」です。前回は「子ども食堂」の活動紹介からやや横道にそれ、本の紹介をさせて頂きましたが、如何でしたでしょうか? 連載12回目の今回は本筋に戻り「たべるば」の話をさせていただきたく、しばしお付き合いのほど、どうぞよろしくお願い致します♪
われわれは、子ども食堂としての活動を主としていますが、軸にあるのは「寂しいのって、哀しいよね」「お腹が空いているのは、嫌だよね」という気持ち。後者部分についてのケアを担っているのが月に1回、西新井ギャラクシティをお借りして開催しているオープン予約制の子ども食堂活動となるのですが、前者部分を担っているのが、拠点「たべるばハウス」での居場所支援を主とした諸々の活動です。
「たべるばハウス」では週に1回程度みんなで集まり、ご飯を食べたり、ゲームをしたり、誰かのお誕生日会をしたり。長期休暇中などは、より頻回に拠点開放を行い、ごはんやおやつを食べながら、宿題をしたり、ゲームをしたりして過ごしています。

さすがに「自宅のように…」とまではいかなのでしょうが、「近所の親戚の家」くらいには居心地良く、リラックスして過ごしてもらえているようです。拠点の利用者は時間帯や開放日の関係もあり、現在、小学校中学年から中学生がメイン。「子ども」食堂という看板のせいか、中学校卒業以降の子どもにはなかなかコミットメントが生じにくいという課題があります。
この「中学校卒業以降」という年齢層ですが、都道府県の条例で禁止されている時間帯(22時以降)に繁華街を出歩く「深夜はいかい」、飲酒、喫煙などの行為を行ったとして補導された「不良行為少年」のボリュームゾーンでもあります。言い換えれば、それまでの「寂しさ」や「居場所の無さ」が不良行為として顕在化してくる年齢でもあり、最近よく目にする「トー横」「グリ下」などに「たむろしている」とされる子どもたちの多くもこの年齢層にあたります。
「たべるば」としてもこれまで、子ども食堂開催時に保護者の立会を原則禁止する回を設ける、学生スタッフを増やす、SNSでの情報発信(特にInstagram)に力を入れるなど、16歳以上の子どもが利用しやすいよう、試行錯誤を繰り返してきましたがなかなかアプローチできていないのが現状でした。
そのような状況のなか、今年の6月に「ヤライ!」という「若者たちへの居場所提供プロジェクト」が始まりました。このプロジェクトは学生スタッフが発案、運営を担い、「たべるば」とは独立しています。
「たべるば」で保護者年齢スタッフが子どもたちに支援を提供していたことに対し、「ヤライ!」では、スタッフと利用者の年齢がほぼ同じです。つまり、「たべるば」が年齢的には縦の支援であったことに対し、「ヤライ!」では横の支援が展開されているのです、このプロジェクトは早速好評を博しています。
さて、縦、横とくれば最後は斜め。
「たべるば」が現在抱える課題の一つに「たべるば卒業生たちの次の一歩」があります。
たべるばの活動開始当時からの利用者も今では選挙権を持つ年齢(18歳以上)になりつつありますが、彼らの中には自立の面でやや課題を抱えている子が居ることも事実です。たべるばとしては、彼らの自立の最初の一歩まできちんと応援してあげたい。そのような想いから就労支援プロジェクトを立ち上げ、彼らが安心できる環境の中で就労トレーニングを行うことができるような場所を作りました。
ここでは、「たべるば」関係者のほか、関係者の友人知人、「たべるば」の支援者や活動を応援してくれている地域の方々など、様々な人と縦でも横でもない、斜めくらいのゆるさのある関わり合いの中で「働く」経験を積むトレーニングを行っています。
このプロジェクトは性質上、今までややクローズドな形で動いたのですが、この度、満を持して区内の高齢者施設に出張させて頂くことになりました!子ども食堂という活動だけでは、なかなか繋がりにくい高齢者の方々とこの機会にご縁が頂けること、今からワクワクしています。
たべるばとしての活動開始からはや7年、ようやく「たて」「よこ」「ななめ」の繋がりのなかで子どもたちを支援することが叶うようになってきました。
同時に、どのプロジェクトもそれなりにニーズが高いことは、現状、多くの子どもたちが「困っている」「寂しさを抱えている」ことに他なりません。団体として、必要されることが無くなる日が待ち遠しい、そんな気持ちを抱えながら、これらかも多くの支援を子どもたちに届けていきたいと思います。